一般社団法人 経営革新等認定支援機関 ねりま中小企業経営支援センター

ねりせん経営相談室Vol.2 資金繰り対応

資金繰りについて①

 

ねりま中小企業経営支援センター

中小企業診断士 深町 一隆

前回までは、「事業承継の現状と課題」、「M&A」、「親族内承継、 親族外承継」について紹介してきました。代表者を交代して株式を 引き継ぐだけでなく、後継者は承継後に安定した企業経営を行う必 要があります。経営資源には「ヒト・モノ・カネ・情報・時間・知的財産」 の6つの種類があります。前回までは「ヒト」に関わる事業承継、これ から「カネ」について資金繰りを中心にご紹介します。

 

 

【資金繰りとは】

資金繰りとは、会社として支払いに利用できる現金や預金などを管理し、必要な時に適切に 資金を調達することです。資金は、会社にとっての血液であり、資金の流れが止まると、倒産の 危機に直面します。そのようなリスクを避けるためにも、資金繰り表を作成する必要があります。

 

【なぜ資金繰り表が必要なのか】

資金繰り表は、会社の現金の流れを可視化し、将来の資金ニーズを把握するのに役立ちます。 例えば、下記表の4月分では、収入が 3,400 万円です。支出は 5,200 万です。収入と支出の差額は▲1,800 万円 とマイナスになっています。▲1,800 万円を補うため、資金調達 2,000 万円(借入 1,000 万円、手形割引 1,000 万 円)によりマイナス分を補っています。この資金調達により、次月繰越現金が 2,400 万円と次月の資金確保につながりま す。 また、資金繰り表は金融機関とのコミュニケーションにおいても重要です。正確な資金状況を示すことで、金融機関からの 信頼性が高まり、資金調達の場面で有利に働きます。

 

 

 

【資金繰り表の作成】 

 

「資金繰り表の作成は専門家に依頼する必要がある」 と考えている人もいらっしゃいますが、エクセル(Excel) で簡単に作成することも可能です。また、資金繰り表 作成機能がある会計ソフトもあり、それらを利用するこ とで簡単に作成することができます。「とりあえず、ざっくり したお金の流れをつかもう」くらいの楽な気持ちで始めて いただければ十分です。

 

【資金繰り表で重視するポイント】

資金繰り表では、「経常収支はプラスか」「残高に余裕 があるか」などを確認することがポイントです。 経常収支(経常収入 - 経常支出)がマイナスであれば、本業をしても現金が減っていくことを意味します。資金繰り表 を作成し、資金不足に陥る前に対処しましょう。 ゼロゼロ融資の返済開始やマイナス金利政策の解除など日々環境は変化しています。金利のある世界が復活すれば借 入金利が引き上げられる可能性もあります。月々の利息の支払いが一段と重くなり、経営への悪影響も懸念されます。 それを回避するうえでも、すぐに自社の資金の流れを把握してください。「何から始めればよいかわからない」「資金繰り表の 作り方がわかならい」「決算書の見方がわからない」など、お困りごとがございましたら、ぜひは練馬区に根差した中小企業 診断士が集まる「ねりま中小企業経営支援センター」へご相談ください。親切丁寧にサポートさせていただきます。

【筆者プロフィール】

氏名 深町一隆

29年間、金融機関において法人取引、中期から長期までの全ての事業計画作成、データ分析による顧客管理やプロモーションの実行計画の立案から推進まで携わってまいりました。実家が家族経営の小売店で、幼い頃から稼業の手伝いをする等、「商売」が身近なものでした。景気の波に翻弄されていたため幼い頃より、経営者様の大変さは十二分に認識しております。これまで培ってきたスキル・経験を活かして経営者様の良きパートナーとしてご支援させていただきます。