一般社団法人 経営革新等認定支援機関 ねりま中小企業経営支援センター

ねりせん経営相談室Vol.1 事業承継(2)

MAについて
ねりま中小企業経営支援センター

中小企業診断士 事業承継マネージャー

 

 

藤井 良正

前回の「ねりせん相談室」では事業の承継について、経営者の交代が進まない状況など事業承継の現状について紹介しました。今回は事業の第三者承継であるM&Aについて紹介します。

 

MAとは

 

M&Aは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略で、企業の合併と買収のことです。MAの件数は近年増加傾向で推移しており、日本においてもM&Aは活発となっています。かつてはMAは身売りなどマイナスのイメージもありましたが、近年では事業承継の一つとして認知されています。「事業承継・引継ぎ支援センター」のMAの成約件数は増加傾向にあり令和4年度では1,681件と過去最高になっています。

       事業承継のM&A成約件数

出所:中小企業基盤整備機構

 

MAの種類

 

M&Aの種類としては株式譲渡、事業譲渡、会社分割、合併、株式移転などがあります。中小企業のMAでは株式譲渡、事業譲渡が一般的な手法となります。

項  目

内  容

株式譲渡

株主の変更のみのため、従業員や取引先など関係各所との関係は変化しません。円滑な事業承継を行えますが、簿外債務なども承継されます。

事業譲渡

事業全体を譲渡

設備、知的材再建、顧客など事業に必要なものを譲渡します。譲渡資産を特定するため簿外債務等を承継するリスクは低くなります。

事業の一部を譲渡

譲渡する資産、手元に残す資産の選別が行えます。柔軟性の高いMAですが、事業全体の承継は完了しません。

 

事前準備

M&Aを行う前の事前準備は多数ありますが、主なものとして「磨き上げ」、「条件の明確化」が挙げられます。

Ø  磨き上げ:事前準備として事業の競争力向上など企業価値を高める「磨き上げ」が重要となります。「磨き上げ」を行い、企業価値を高めることにより譲渡価値の向上が期待でき、有利な条件で譲渡が行える可能性が高くなります。

Ø  条件の明確化:どのような手法、条件で事業を譲渡したいのか経営者自身で考えを明確にする必要があります。明確化したうえで、経営者の希望に合った譲渡先を探します。

相手先企業の探し方

MA実施に向け、事業譲渡の相手先の企業を探すときには金融機関や専門の仲介業者を活用するのが多い方法です。仲介業者は民間の会社、国の支援機関である「事業承継・引継ぎ支援センター」があります。特に民間の会社においては、得意分野や業務範囲、報酬体系なども異なっているため、自社にあった仲介業者を探す必要があります。

 

MAは専門的なノウハウが必要になります。金融機上関、専門の仲介業者、税理士などの士業のサポートを受けながら進めていくことになります。

MAをお考えで、相談先にお困りの場合などには、練馬区に根差した中小企業診断士が集まる「ねりま中小企業経営支援センター」でもご相談を受け付けております。お気軽にご連絡ください。