ねりせん経営相談室Vol.2 資金繰り対応
資金繰りについて②
資金繰りの手当について
ねりま中小企業経営支援センター
中小企業診断士 千布 達久
前回の「ねりせん相談室」では、資金繰り表作成 の重要性について説明いたしました。では、資金不 足が想定された場合にどのように対応すればよいの でしょうか。今回はそのプロセスについてご説明いたし ます。
●先ず、自社の経常収支の回収支払パターンがどのようなものか確認する必要があります
上図をみて頂けますでしょうか。これは代表的なパターン別に運転資金に関するバランスシートをグラフ化したものです。薄 青の「必要運転資金」部分が大きいほど資金繰りが圧迫され、調達の必要性がでてきます。
順番にみて参ります。
①は建設 やソフト受注開発の業種に多く見られる回収構造です。契約から引き渡しまで時間がかかり、在庫にあたる未成工事支出 金等の先行支出が手元資金を圧迫し必要運転資金が多額となります。引き渡しになれば、一気に在庫から現預金残高へ の振替がおこなわれますので、繋ぎ資金などによる対応が一般的です。
➁は卸、製造業に多く見られる回収構造です。 BtoB の場合、売上の回収に相応の期間がかかり在庫も必要なことから、一定額の運転資金の確保が必要となります。この パターンで注意すべきは売上が増加すれば、対応する増加運転資金の調達が必要となることです。
③は小売・飲食に見ら れる回収構造です。現金回収が大きく、支払債務に対応する預金がプールされることから、運転資金需要が大きくないこと が特徴です。このパターンで、資金繰りが厳しい場合には赤字化している場合が大半と考えられます。
次に回収支払パターンを確認した上で資金繰り赤字の要因が資金繰り表上部の経常収支か下部の財務収支かを確認し、下表の通りの4パターンに分類し対応策を練ることをお勧めします。
❶収益を生む事業モデルになっていないことが予想され、早期にビジネスモデルを見直すべきです。
➋前向きな増加運転 資金需要による資金不足が予想されます。業績・資金繰りを確認の上、早期に資金調達の相談を行いましょう。
❸現在及 び過去の投資が予定したキャッシュを生み出していない場合です。投資効果の測定と投資の見直しが必要です。生産設備等であれば稼働率、店舗であれば集客数等から設備が生み出すキャッシュを検証しましょう。
❹過去調達した運転資金の 返済ピッチが収益を超え、資金繰りが不安定化している状態が考えられます。必要な運転資金を確認の上、借換や折返 資金の調達にて資金繰りの安定化を検討しましょう。
資金繰りや事業戦略、投資効果測定に関する診断は、練馬区に根差した中小企業診断士が集まる「ねりま中小企業 経営支援センター」でもご相談を受け付けております。お気軽にご連絡ください。
千布 達久
練馬区在住の中小企業診断士です。
財務、
■紙面だけでは伝え切れなかった想い
資金繰りは企業の存続の為になによりも優先させる必要があります